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2015年 04月 09日

トランペットのスワブ

私が高校生の頃、トランペットの管内の掃除用具といえば、一般に流通されているものは今と比べれば少ないものでした。
写真のガーゼと掃除棒、フレキシブルブラシ。そして、マウスピースブラシとブラスソープ。
トランペットのスワブ_a0335229_15022822.jpg
現在は、かゆいところに手が届くように様々なものが販売されています。
マウスピース用のスワブからピストンの油汚れを落とすためのクリーナーまで。
また、ガーゼやクロスも合成繊維で汚れ落ちの良いものが多く販売されています。

ご自身で管楽器のメンテナンスをするうえでは、コストは掛かりますが選択の幅が広がり、より楽器や奏者に優しい環境になったのではないかと思います。

私は高校生の頃、おじさんに買って貰ったヤマハのトランペットを大事に使っていました。

本番の一か月前には必ず、写真のブラシを使って水洗いをするのですが、吹き込み管から覗くとどうしても取れない汚れがあります。
神経質な一面のある私は、それが気になってしかたありませんでした。

部活動ではクラリネットやサックスが演奏後必ず紐のついたハンカチを通してから楽器をケースにしまいます。
しかし、金管楽器は、ふ~っ!!と唾を抜いてオイルを差すだけです。
フルートは掃除棒にガーゼを巻きつけて管内の水分を除去します。
しかし、金管楽器は、楽器を片すと真っ先に教室の机を元に戻しています。


これで良いのか?

そう思った私は、ある時リコーダーの掃除棒にガーゼを巻きつけて、吹き込み管の掃除をしてみました。

しかし、ガーゼを細く巻きつけるのが難しいですし、なにより短くて奥まで届きません。

以後、フルートの掃除棒を使うなど、試行錯誤を繰り返し、行きついたのがこれです。
トランペットのスワブ_a0335229_14505779.jpg
スワブの自作です。当時使っていたものが残っていました。
吹き込み管に入るサイズに調整をしながら、テルテル坊主状にガーゼを凧糸で纏めました。おもりは、クリップです。確か管内が傷つかないように色付きの物を選んだ記憶があります。



時代が移り行き現在。

リペアマンになった私は、やはり仕事でスワブを使っています。
金管楽器用のスワブをです。
試奏後にマウスパイプに通しています。

もちろん、自作です(笑)
トランペットのスワブ_a0335229_14504513.jpg
技術レベルが上がり、おもりは釣り用、ガーゼは眼鏡用のマイクロファイバークロスを小さく切っています。おもりには傷防止のため熱収縮チューブで包んでいます。
トランペットのスワブ_a0335229_14505111.jpg
しかし、紐は相変わらず凧糸で変わりはありません。



※ここで、自作を試みる方、ご注意ください。
クロスの大きさが大きいと途中で詰まってしまう恐れがあります。
また、クロスの縛り方が甘いとやはりクロスが取れて管内に詰まる恐れがあります。
現在は昔と違い、品質の良い金管楽器用のスワブが発売されていますので、是非そちらをご使用ください。
石井管楽器

# by ishiikangakki | 2015-04-09 17:58 | 金管楽器
2015年 04月 04日

アマドキー

金管楽器の唾抜きでアマドキーというものがあります。
アマドゥキー、アマド―キー、アマド式ウォーターキーなどなど、色々な呼び方があります。

私は毛嫌いというわけではなく、トランペットにおいてアマドキーにメリットを見出すことはありませんでした。

実際に自分の楽器に取り付けてみても、機能的にはむしろ唾の出が悪く感じますし、時折りピストン(アマドキーの)が戻らなくなることもあり、信頼性という意味で疑問がありました。
また、吹奏感に関しても、息の流れがスムーズには感じますが、音の出方に堅さというか、従来の唾抜きと違って異物感を感じるのです。
金属同士のバルブシステムですから、唾は漏れます。
唾やオイルがシールとなって、息漏れは無いようですが、唾は漏れます。これに関しては通常のシステムでも、「しずく」は残るので、それ程気にはなりません。

そんなこんなで、アマドキーとは距離を置いていたのですが、ある時ふと考えたのです。

アマドキー_a0335229_18253085.jpg

アマドキーのケース部は楽器本体と同じ素材の真鍮製なのに、なぜ中のピストンは真鍮製ではないのか。
正確な裏図けはありませんが、私なりの検証ではステンレススチール製と捉えています。(※現在アマドキーは多くの種類がありますので、すべてには当てはまりません)
また、構造上汚れが付着しやすく、動作の不良が起こりやすいですので、その対策として材質の選定がなされていると、私は推測しています。

そして、私は実際にピストンを真鍮で削り出して見ました。

アマドキー_a0335229_18253970.jpg

写真左から、銅合金金メッキ製、真鍮製、純正です。

結果、私は個人的に気に入りました。

吹奏感が軽くなり、音色も明るくなるように感じました。
そして、私が感じていた異物感が無くなったので、私の辞書では「アマドキーは条件付きであり」という結論に達しています。

また、真鍮製に関して、自分の楽器では動作不良は起きていません。

以来、色々な材質で試しています。それぞれに特徴があるようです。

今後も検証を続けていきたいと思います。

もし、アマドキーについてご興味がございましたら、お気兼ねなくなんなりとご相談ください。
私にわかる範囲であればお答え致します。
石井管楽器



# by ishiikangakki | 2015-04-04 18:41
2015年 03月 28日

可動式支柱

トランペットのメインチューニング管、主管抜差しとも言いますが、ここに支柱の付いていない楽器に取り付けるための可動式支柱というものがあります。現在、数社から発売されています。

この支柱の数や位置などは、全体の楽器のバランスや設計思想から弾きだされるものです。

また、支柱の材質によっても違いがあります。

私は、一つのアイディアとしてこのようなことを考えました。

○通常の固定式支柱と見た目をほぼ変わらないようにする。(半田付け部分の構造以外は従来型と同じ)
○支柱のロッド部を様々な材質の物で作り、交換可能にする。


可動式支柱_a0335229_16402261.jpg

可動式支柱_a0335229_16402941.jpg

私が、可動式支柱について、以前より疑問に思っていることは、半田付けで固定すると、二本で平行する管が内側に引っ張る力が生じます(付け方によってはニュートラルに出来ます。)しかし、可動式支柱は外に広げる力が無いと固定出来ません。

これは、どうなのか。

まだ、検証途中ですので、何とも言えませんが、他の問題と比較すればそれ程問題にすべきことでは無いのかな、と現時点では思っています。それよりも、位置の変更が可能であったり、材質の変更が容易であることのメリットが上回る可能性があります。

引き続き検証していきたいと思います。

石井管楽器






# by ishiikangakki | 2015-03-28 17:01 | 金管楽器
2015年 03月 19日

昔に使っていたマウスピース

私が高校生の頃使ってたマウスピースは、楽器に付属していたヤマハの11番でした。
マウスピースは肌身離さず、常にポケットの中に入れていましたから傷だらけでした。
それから25年経ってこうなりました。
昔に使っていたマウスピース_a0335229_16490821.jpg
メッキは全く残っていません。

これを磨いてみたいと思います。

まず、洗浄剤と超音波洗浄機でクリーニングをします。

昔に使っていたマウスピース_a0335229_16494844.jpg
そして、バフレースという研磨機で磨きます。

昔に使っていたマウスピース_a0335229_16495446.jpg
細かい傷をしっかり削り取ることも可能ですが、程よいところで止めました。

昔に使っていたマウスピース_a0335229_16500449.jpg

左が今回のマウスピース。真ん中は新品同様のヤマハ11。右がヤマハ11にバックの3Cリムをスクリュー加工で取り付けたもの。

古いマウスピースは変形修正や研磨、洗浄ののち再メッキを行い、再生することが可能です。
また、マウスピースの落下とシャンク端面の変形修正を繰り返すと、端面のひび割れが起きます。ひび割れの修正も可能です。

但し、再メッキや研磨の度合い、端面修正などは、施工前後で違いが出る為、一か八かの要素が捨てきれません。


引き出しの奥に眠っていたマウスピースが、今なら意外と使えるかも。
ちょっとした加工なのにこんなに使えるマウスピースになるとは。

マウスピースの加工はそんな可能性を秘めています。

というわけで、私の個人の私物である昔の思い出の品をみがいてみたのですが、メッキはどうしましょう。

おそらくメッキをしても使うことは無いと思います。しかしここまで綺麗になるとこのままにしておくのは勿体ないですね……。

石井管楽器




# by ishiikangakki | 2015-03-19 17:26 | 金管楽器
2015年 03月 09日

針金細工

管楽器修理の修行中、休み時間にはこんなことばかりやっていました。

針金は部品の固定に使う場合があります。

そんな針金を見ていてなんか出来ないかと思いついて作ったのがこれらです。


針金細工_a0335229_19374999.jpg

これは、わずかに手元に残っているものです。
殆どが欲しいと仰って頂いた方に差し上げました。

バリトンサックスとフレンチホルンは、かなりのお気に入りで差し上げることが残念ながら出来ませんでした。

今、作ろうと思っても、針金細工に関しては情熱が足りません。

しかし、この作品がある管楽器の部品を作るきっかけになったのです。

どこにヒントが転がっているかわからないものです。

思いついたら即行動。やってダメならはい次!
そういう心掛けを大事にしています。



石井管楽器












# by ishiikangakki | 2015-03-09 19:49 | 金管楽器