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2016年 01月 24日

抜差調整

トランペットでは1番と3番の抜差管を演奏中に操作をして音程補正をします。

例えば、1番と3番のピストンを押して出す「レ(実音でC)」の音が高めなのは、トランペットを演奏される方でしたらほとんどの方がご存じのことと思います。

この音を出す際に左手薬指で3番抜差を抜いて、管を長くすることで音程を補正します。

抜差調整_a0335229_16333122.jpg

このように小指を添える持ち方もあります。

抜差調整_a0335229_16332740.jpg

しかし、楽器によっては、この抜差部が固く、薬指で操作するにはスムーズではない場合があります。グリスではなく「チューニングスライドオイル」という、これらの抜差しをスムーズに動作するためのオイルがありますが、それを使用しても固い楽器は固いのです。

この部分を修理調整によって軽くすることが可能です。

意外とその事実を知らない方は(私はリペアマンになるまで知りませんでした)現在でも多いのではないでしょうか。
私は、その事実を知ったときには、目から鱗が落ちるようでした。

抜差調整といいまして、全体の管の位置関係を考慮しながら、適切な位置に補正することで、抜差管の動きをスムーズにする調整です。

このような調整を施すと、指の力が少しで済むため、上記の音程補正の操作が楽になります。

抜差管の固さや作動具合は、最終的には演奏者の好みがあります。
しかし、軽く調整が出来るという事実を知らずに「固いのは当然」と思われているのは、勿体ないと私は思います。

抜差し管に動作調整について、ご興味のある方は是非ご相談を頂ければと思います。

また、同様にチューバも演奏中に音程補正の為に抜差管を手で抜差しする場合があります。
こちらも調整によって軽くすることが可能です。


余談ですが、この記事作成の為のサンプル楽器には第一抜差のサムフック(トリガー)が元々ついていません。

抜差調整_a0335229_16333601.jpg

このような楽器に後付けでサムフックを取り付けることも可能です。

石井管楽器










by ishiikangakki | 2016-01-24 16:57 | 金管楽器


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